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勝敗だけでなく囲碁そのものの価値を考えるようになった
申眞諝九段インタビュー、AI時代の課題を語る
2026 年 06 月 09 日掲載

第16回春蘭杯の期間中、韓国の申眞諝九段が中国メディアの取材に応じ、自身の心境の変化やAI時代の棋士のあり方、さらには日中韓囲碁界が直面する課題について率直に語りました。

勝敗だけでなく囲碁そのものの価値を

現在、世界ランキング1位の申九段が、「昔は頭の中が勝ち負けだけでした。しかし今は、一手一手に込められた意味や対局の流れをより大切に感じています。囲碁そのものの価値についても真剣に考えるようになりました。」と語りました。

申九段は自身のキャリアの転機として、2020年のLG杯優勝を挙げました。

当時、柯潔九段や朴廷桓九段という大きな壁を乗り越え、初めて世界タイトルを獲得したことで精神面に大きな変化があったと振り返っています。

また、若い頃から尊敬していたのは李昌鎬九段と李世乭九段であり、実際の対局を通じて最も多くを学んだ棋士として朴廷桓九段の名前を挙げました。

AI時代に必要なのは「独自性」

「多くの棋士がAIの打ち方を研究していますが、その結果として棋風が似ってきています。」と指摘した申九段は、今後のトップ棋士には独自の強みが不可欠だと語りました。

「例えば戦闘力や終盤力、形勢判断力など、自分だけの武器を持つことが重要であり、AIを真似するだけでは不十分です。」と強調しました。

「なぜ自分が囲碁を打つのか。囲碁が自分にとってどのような価値を持つのかを考えてほしい。その答えを自分の言葉で説明できることが大切です。」

柯潔九段は今なおライバル

春蘭杯では約16か月ぶりに世界戦へ復帰した柯潔九段にも言及しました。

申九段は「若い頃の私にとって柯潔九段は越えられない高い山のような存在だった。」と振り返りつつ、世界タイトル獲得後に少しずつ苦手意識が薄れていったと語りました。

「柯潔九段が本格的に世界戦へ戻ってくれば、いつでも優勝候補になる存在です。」と評価しています。

韓国・日本囲碁界に危機感

申九段は、中国囲碁について「トップ層の厚みが非常にあり、次々と若手が育っている。」と評価しました。その一方で、韓国と日本については若手育成に課題があるとの認識を示しました。

「韓国と日本は後継者不足という危機に直面しています。もし韓国や日本の囲碁界が衰退すれば、それは中国囲碁にとっても決して良いことではありません。」

「囲碁はもはや競技スポーツとして認識されている以上、ルールや制度をさらに進める必要がある。」と述べ、世界大会におけるルール統一の重要性も訴えました。

中国は人材が豊富、韓国は変革が必要

中韓の戦力比較については、「中国には絶対的な一強こそいないが、トップ層に非常に多くの有力棋士が存在する。」と語りました。

韓国については、「現在は一部のトップ棋士への依存度が高い。」と危機感を示し、「新たなスター棋士が現れなければ将来的に厳しい状況になる」と心配しています。

「30歳前後でも十分に世界のトップで戦えることが分かってきた。」としながらも、「競技の世界に絶対はない。常に危機感を持ち続けなければならない」と気を引き締めています。

大会の後に疲労やストレスを強く感じていたという申九段ですが、現在は自己管理の重要性を意識するようになりました。日常的に運動を行い、音楽を聴いてリラックスするなど、コンディション維持にも取り組んでいると明かしました。